●スポーツ吹矢の健康効果


 スポーツ吹矢の最大の特徴は呼吸法にあります。呼吸とは、空気中から酸素を吸入し、体内の化学変化によって生じた二酸化炭素を体の外に排出する行為のことで、私たちが生命を維持するために欠かせないものです。


 スポーツ吹矢式呼吸法は胸式呼吸と腹式呼吸の両方を行う呼吸で、呼吸にかかわる筋肉をすべて活用します。息を静かに細かく長く吐き、自然に息を吸い、一瞬止めてから的をに向かって『短く一気に』吐き出す特有の呼吸がスポーツ吹矢式呼吸法で、基本動作を行うことによって、この呼吸が自然にできます。


【腹式呼吸】

 腹式呼吸は、主に肋間筋(肋骨を互いに繋いでいる筋肉)が動くことによって肺を収縮させて行われる呼吸です。


【腹式呼吸】

 腹式呼吸は、胸部と腹部の境界にある横隔膜を胸式呼吸のときよりも高く上げたり、下げたりする呼吸です。息を履くときにお腹をへこませて横隔膜を上げると、肺はそれに押されて中の空気が出ていきます。逆に横隔膜を下げると、肺は十分に膨らんで空気がたっぷり入ります。


◎スポーツ吹矢式呼吸法による健康効果

             (出典:日本スポーツ吹矢協会パンフレットより抜粋)

【血管のつまりや動脈硬化を予防】

 呼吸をして肺胞を膨らませると、その周囲の毛細血管が引き伸ばされ、このとき肺胞の壁から「プロスタグランジンI2」という生理活性物質が放出されます。この物質は強力な血小板(血液を固まらせる成分)凝集抑制作用と血管拡張作用を持っています。

 動脈硬化は、動脈の壁にコレステロールが着いて組織が壊され、血管壁が厚く硬くなって弾力性がなくなり危うくなるというもので、高血圧や肥満、糖尿病などによって促進されます。動脈硬化は血流障害や血栓形成を伴っていて、これらによって心筋梗塞や脳梗塞、脳出血など命にかかわる重大な病気が引き起こされます。

 スポーツ吹矢式呼吸をすることで、たくさんの肺胞を膨らませ、たくさんの「プロスタグラジンI2」を作り出し、その結果、血管のつまりや動脈硬化や脳梗塞、脳出血などの予防へとつながります。


【心を落ち着かせ、ストレスを解消】

 腹式呼吸を行うと、扁桃体が落ち着き、視床下部は交感神経と反対の働きをする副交感神経を活発に働かせるようになります。ストレスを緩和することができ、精神を安定させることが出来ます。心が安定すればイライラすることがなく、安眠効果も得られるでしょう。

 また、ゆっくりたっぷりと呼吸をすることで、脳内に酸素がたくさん取り込まれ、脳が酸素を使った結果、二酸化炭素が増えます。そうすると精神を安定させる働きがあるセロトニンという物質を出すセロトニン神経が刺激され、セロトニンが増加します。うつ病の予防にもなるものと考えられます。

 さらに、スポーツ吹矢で矢が的に的中すると、快感ホルモンであるドーパミンの分泌が促進され、ストレスや不眠症に効果的です。


【冷え性の改善】

 腹式呼吸を行って副交感神経を働かせれば、血管が拡張して血液の流れがよくなり、冷え性が改善されます。特に自律神経のバランスを崩して冷え性になっている場合は有効な方法です。また腹式呼吸によって腹部の内臓をマッサージしますから、これによっても血流がよくなります。


【肩こりの改善】

 腹式呼吸を行って自律神経を副交感神経に切り替えれば、筋肉の緊張がとけ、血液の循環がよくなり、また内臓をマッサージすることによって全身の血流がよくなり、肩こりの改善へとつながります。


【高血圧の予防】

 副交感神経を働かせて血管を拡張させれば、血圧の低下をもたらします。またストレスが緩和され、血圧の低下にもつながり、「プロスタグランジンI2」によって血管が拡張され血圧の上昇を抑えることができます。


【脳の老化防止】

 酸素が不足すると脳細胞は破壊され、4分ほどで脳死に至ります。複式呼吸で肺胞からの酸素を取り込んだ大量の血液が脳に送り込まれ、その血液とともに大量の酸素も脳に届くことで脳細胞の老化が抑えられます。また脳の深部にある延髄は人間の体の生命機構の中枢で、ここが活性化されると、体調がよくなります。複式呼吸によって脳に新鮮な空気を送り込めば、延髄の働きも活発になります。


【糖尿病の予防】

 糖尿病はインスリンの分泌が足りなくなったり、働きが衰えたりして血糖値が上がることによって起こります。ストレスを受けると交感神経の緊張が高まり、インスリンの分泌を抑えるノルアドレナリンという物質が増え、インスリンの分泌が低下し、高血糖状態になります。

 一方、副交感神経を働かせると、交感神経の緊張が解け、ストレスが解消されます。その結果、ノルアドレナリンの増加が抑えられることになり、糖尿病の予防へとつながります。


【内臓機能の活性化】

 腹式呼吸を行い横隔膜を上げ下げすると、酸素が肺の深部にまで送り込まれ、腹圧が腹腔全体にかかり、すい臓、胃、小腸、大腸、脾臓などの内臓をマッサージするような効果が得られます。その結果、内臓の血液の循環がよくなり、そこに停滞していた古い血液が送り出され、代わりに新しい血液が送り込まれることによって内臓の働きが活性化していきます。


【喘息の改善】

 喘息になると空気の通り道である気道が狭くなります。そのため必要な換気量を確保しようと、ふつうの人より呼吸の回数が多くなり、呼吸をするだけで苦しいという状況が起こります。このような状態のときに腹式呼吸を行う習慣をつけていれば、横隔膜を下げることで息を吸うため、エネルギーが少なくてすみますし、呼吸の際の痛みも軽減されます。


【腰痛を予防】

 腰痛を予防・改善するには腰の周囲の筋肉を鍛えることです。特に、腰椎がずれて腰に激痛が走るぎっくり腰の予防には、腰椎の形が崩れないようにその周囲の筋肉を鍛えておかなければなりません。また、腰を冷やしたりして血行がわるくなっても腰痛は起こります。


 スポーツ吹矢式呼吸法によって腹筋が鍛えられるだけでなく、正しい姿勢で行うために背筋も鍛えられ、ぎっくり腰や腰痛の予防につながります。血行もよくなりますから、冷えによる腰痛の予防にもなります。


【免疫力を高める】

 ストレスによって交感神経が優位になると免疫の働きが低下し、逆に副交感神経が優位になると免疫の働きが高まります。免疫力が低下するとかぜを引きやすくなったりします。


【美肌・ダイエット効果】

 ストレスによってホルモンのバランスが崩れることで肌荒れになったり、交感神経が興奮して、血管が収縮すると、肌に有益な栄養分が全身に行き渡らなくなったり、ストレスでイライラすれば、メラニン色素を作る細胞が刺激され、シミができる原因にもなります。また腹筋を使うため、お腹も引き締まります。